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高森明勅
2019.7.2 06:00政治

北朝鮮の首脳会談ラッシュ

6月30日、アメリカのトランプ大統領と
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が急展開で、

朝鮮半島の軍事境界線にある板門店で首脳会談を行った。
国家のトップ同士の会談としては極めて異例。

いかにもトランプ氏らしい、
アメリカ国内向けのアピール効果を狙った、

底の割れたパフォーマンスに過ぎまい。
だがこれによって、安倍首相が議長を務めた大阪での
G20サミットは、たちまち影の薄いものになった。

しかも、今回の会談が北朝鮮の存在感を一層、
際立たせる結果になったのは、疑いない。


世界最大の軍事大国アメリカですら、
北朝鮮をもて余している姿が国際社会に晒されてしまったからだ。

先頃、中国の習近平国家主席が北朝鮮を訪れたばかり。
その前に金氏は、ロシアのプーチン大統領とも会っている。
このところ、北朝鮮は首脳会談ラッシュと言って良いような状態。
そんな中で、拉致被害者の帰国という悲願を抱え、かつ
核・ミサイルの脅威に最も間近で直面している日本だけが、蚊帳の外だ。

最近まで「対話ではなく圧力」と強調していた安倍首相が、
手のひらを返し、大幅に譲歩して、「前提条件無し」(つまり無条件)で
“対話”を求めても、すっかり足元を見られて、はかばかしい反応は無い。

北朝鮮のGDPはわが国の僅か百分の一程度の規模とされる。
にも拘らず、日本の“保護者”アメリカと「タメ口」の付き合いをして
日本を見下し、歯牙にもかけない。

今のままなら、アメリカとの合意を背景に、北朝鮮が核・ミサイル
という日本への脅威を温存しつつ、拉致被害者の帰国も満足に実現
しないまま、日本が“歴史の清算”などを名目に巨額の資金をむしり
取られる悪夢が実現しかねない。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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